癒しの言葉  ゆーっくりでいいからね

ACとして悩んできた私が、自分なりに導きだした 癒し・幸せのコツなど。「引き寄せの法則」も取り入れながら、わかりやすい形でお送りします。

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その同僚 (幸せになれるオリジナル小説)

その同僚


来る日も来る日もPCの前に座り、眉間にシワを寄せてひたすら働き続けていたある日。 そいつは突然、現われた。 こんな姿をせせら笑うように、やつは突然、現われたのだ。

見たことのない男だった。 同じ課にこんなやつはいない。 妙になれなれしい。 一体誰なんだ? 仕事中に遠慮なく話しかけてくるそいつに、俺は相当苛立っていた。

誰だ? あ、そうか。 営業一課に入ったやつだな。 最近、転職してきた30代の男ってこいつだな。 そう思った俺は苛立ちながらも聞いてみた。

「あんた営業一課の新入りかい?」

「まぁ、そう思ってくれてもいいよ。 それより、最近のあんたちょっとイライラしすぎじゃない? ってかそれって、やっぱあの無能な上司のせい?」

なんだこいつは。 こんな場所で堂々と。 というより、なんでそんなこと知ってるんだ?

「おい、バカなことをいうな。 第一、まわりに聞こえるじゃないか」

「心配すんな。 バカ上司は出張中だし、他の連中は人のことなんか眼中にないから。 それにしても上司とは名ばかり。 給料泥棒もいいところだな。 同期たちも調子ばっかよくて、実力ないくせに出世が早いしな。 ったく、転職でもしたいが、この時代、同じ給料で雇ってくれる会社なんかあり得ない。 そうだろ?」

よくまぁ、ベラベラしゃべるものだ。 それも仕事中に。 新入りのくせに仕事さぼって、よその課に来てしゃべりまくり。 なんなんだ、こいつは。 

だがこのおしゃべりな新入りの同僚は、これで諦めなかった。 やつは年がら年中、俺の前に顔を出すようになったのだ。 たとえばトイレに行くとやつがいる。

そして他の連中の悪口を言ったり、会社の行く末を案じたり。 とんでもない新入りだが、不思議と俺の見解と一致している。 確かにやつの言うとおりなのだ。

俺の不満もズバリ言い当ててる。 入ったばかりで、しかもよその課。 なのになぜだか俺の思っていることを知ってる。 気持ちの悪いやつだ。 

俺も俺だ。 この変てこな環境に慣れつつある。 ある晩のこと、上司のことで腹を立てた俺は、ひとりで飲みに来た。 わかってくれる同僚なんていやしない、ひとりの方が落ち着く。

ひとりでチビチビやってると、なんとあいつがやってきたのだ。 ストーカーでもあるまいし。 なんだってここがわかったんだ。 

「つけてきたのか? 気持ち悪いことすんなよ」

「まさか。 そこまで暇じゃないよ。 おたくの課の、ほれなんて言ったっけ。 あんたと同期の。 彼が言ってたのさ。 あいつならどうせ一人で飲みに行ってるんだろう、なぐさめに行ってやったら?って。 場所もちゃんと教えてくれたんでね、来てみたってわけさ」

俺は新入りよりも同期にムカついた。 俺が飲みに行くとしたらこの店くらいしかないって、知ってやがる。 上から見下ろしてるんだ。 嫌なヤツだ。

で、この後どうしたかって? 結局、そいつと飲み明かしたさ。 やつはグチを聞いてくれたし、俺が言いたかったこともズバリ言ってくれた。
不思議とスッキリしたね。 認めたくないけど事実だ。

酔いすぎていたので、それからのことは覚えていない。 翌日、頭が痛かったから二日酔いになったことは間違いない。 やつとどう別れたかも覚えてない。

もともと俺は社交的な方じゃない。 会社ではそれなりに振舞ってるけど、本当の俺は違う。 プライベートだけはしっかり守りたい。 会社から一歩出たら、その後の時間は俺のものだ。 誰にもじゃまされたくない。

その日、いつものように一人暮らしのマンションに帰ってきて、鍵をあけようとすると・・・人の気配を感じた。 やつだ。 いつの間にか、やつがすぐ後ろにいる。

「おいおい。 いくらなんでも図々しいじゃないか。 家にまで着いてくるなんて! そこまではお断りだ」

さすがの俺も強く出た。 やつは何もいわずにニヤニヤしている。

俺がドアをあけると、なんということだ。 やつはあっという間に家に上がりこんできたではないか! 頭に来た俺の表情を見たそいつはこう言った。

「そろそろ俺の正体を知りたいんじゃないのか?」

「正体? おまえは営業一課の新入りだろ? 違うのか?」

「答を教えてやるよ。 こっちに来ればすぐわかるさ」

俺は暗示にでもかかったかのようにおとなしく、やつの後ろについていった。 俺の家だというのに。 洗面所まで連れていかれた俺は・・・その瞬間、すべてを悟った。

この時の俺の驚き、あなたは想像つくだろうか?

洗面所の大きな鏡。 そこに映ったのは、そう、俺自身。 俺自身以外の何者でもない。 そこには俺しかいなかった。

そう、心の奥ではわかっていたんだ。 

俺の言いたいことを代わりに言ってくれていた”あいつ”は、”もう一人の俺”だったのだ。

俺は手を洗い何事もなかったかのようにキッチンに向かった。 冷蔵庫をあけて缶ビールを取り出す。 お疲れさまの一杯は何ものにも変えられないほどうまい。

ところで、もしある日突然、あなたのすぐ横に ”もう一人のあなた”が現われたら思い出してほしい。 この奇妙な話を。


~おしまい~



読んでくれてありがとう。 他のお話も読みたいという方は、こちらもどうぞ!



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*Comment

 

けっこうなお手前で…m(__)m
  • posted by おっちょこちょい 
  • URL 
  • 2010.03/13 00:32分 
  • [Edit]

 

こんばんゎ(^^)/

なんか
反省しなければ
いけない事ばかり(T_T)
でも
誰でも持ってる心の一部かも…(T_T)
  • posted by sugar salt 
  • URL 
  • 2010.03/13 01:02分 
  • [Edit]

 

お久しぶりです。
もう一人の自分か。
いて欲しいような
いたら困るような…(笑)

おっちょこちょいさんへ 

ありがとうございます。
ん? 名前 また変えました?
  • posted by シャイドリーマーより おっちょこちょいさんへ 
  • URL 
  • 2010.03/13 09:47分 
  • [Edit]

sugar saltさんへ 

そうですね~
そう思って書きました。
誰でも持ってる心の一部。
うまい表現しますね~。
  • posted by シャイドリーマーより sugar saltさんへ 
  • URL 
  • 2010.03/13 09:50分 
  • [Edit]

キャサリンさんへ 

こんにちは~。

キャサリンさんの横にちょこんと
座ってるかもよ?
もう一人のキャサリンさんが。
  • posted by シャイドリーマーより キャサリンさんへ 
  • URL 
  • 2010.03/13 09:51分 
  • [Edit]

その同僚 

SS ゆっくりと読ませていただきました。皆経験あると想います。
自分の中には、7人の自分を住まわせているそうですよv-434
自分で気がつかないだけ、、みたいです。
楽しいと思います、そして自分を高められると想います。素敵な日になりそうです。ありがとうございました。柳宏

和かた整体処さんへ 

こんにちは。

貴重な時間を使って読んでくださってうれしいです。
しかも、素敵な感想を寄せてくれて・・・
自分の中に7人もですか~?
そういわれてみれば、そうかも知れませんね。

和かたさんも日曜日、ぜひ楽しくお過ごしください。
  • posted by シャイドリーマーより 和かた整体処さんへ 
  • URL 
  • 2010.03/14 14:11分 
  • [Edit]

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