2010.01.23

どこまでも幸せなおみくじ(幸せになれるオリジナル小説)

どこまでも幸せなおみくじ


そこは幸せ神社と呼ばれていた。 参拝者は、皆幸せそうな顔をして帰るのだという。 なんでも、幸せになれるおみくじというのがあって、それが人気らしい。

幸せになれるおみくじとは、どんなものだろうか?

大吉ばかりのおみくじなのか?

興味津々の私だったが、何しろ遠いのでめったなことでは行かれない。 

ある日のこと。 旧友のA君がひさしぶりに訪ねて来た。

正直・・・最初は借金の申し込みにでも来たんじゃないかと思った。 というのも一年前にA君は事業に失敗、家族もバラバラになっていたのだ。

ところが! A君の顔を見てすっかり安心した。 血色もよく、年齢よりもずっと若々しく見える。 はつらつとしているのだ。

「幸せそうだね」

思わず、そう声をかけるとA君は

「幸せだよ!」と言い切る。

いったい彼に何が? 知りたそうにしている私の表情を読んだA君は、さっそくこんな話をしてくれた。

それは、彼を幸せにしてくれた、例の神社のおみくじの話だった。




仕事も家庭も失ったA君は、元来、徹底的なリアリストであったが、苦しいときの神頼み。 何でもいいからすがりたい。 そんな気持ちで、幸せ神社を訪れた。

お参りもそこそこに、A君はうわさのおみくじを引きに行った。 そう、幸せになれると人々がいう、おみくじだ。

A君は思い切って引いてみた。

すると、出たのはなんと 

「大凶」

これを見てもA君はなんとも思わなかった。 どうせそうだろうよ。 運が悪いからこうなった。 どうせ俺は大凶さ。

そんな気持ちだったからだ。

いまいましいおみくじを始末しようとしたその時。 A君は、おみくじが巻物のようになっていることに気づいた。

そこには

「大凶を引いたあなたへ」と記されていた。

まあ、ごていねいに。 A君はあきれたが、巻物には長々と説明が書かれている。 どうせ運が悪いならこの際、読んでやるか。 A君は巻物を少しずつ広げながら読み出した。

そこに書いてあったことは・・・

「大凶を引いたあなたへ。 おめでとうございます! あなたは幸せの手前まで来ています。 あとはしっかり幸せをつかむだけです。

大凶という文字に、もしかしたらあなたはこう思っていませんか? ほら、やっぱり。 どうせ自分は運が悪いんだって。 ところが違うんです。 あなたは参拝者の中でも、飛び切り運がいい人なんですよ。

今のあなたには、抱えても抱えきれない問題があるのですね。 それで半ばやけになっているのですね。 

おめでとうございます!

あなたはすばらしい人です。 そんな状態でも、藁にもすがりたい気持ちでここにいらした。 そして、幸せになれるおみくじまで引いた。

なんて前向きな人なんでしょう。 

あなたの持っている大凶。 いや、実はあなたが持っていると勝手に思い込んでいるだけなのですが、あなたの言葉でいう不運の数々。

今日限り、捨て去ってしまいましょう。

こんなことをいわれてもピンと来ないのは当然。 あなたはまだ目覚めたばかりなのですから。 幸せの一年生なのですから。

あなたが思っている幸せとは何ですか?

少しだけ、それの実現に手を貸しましょうか?

ここだけの話ですよ。 大凶を引いた方だけにお教えするのですから。

もはや頼るものは何もないのだったら、一銭もお金がかからない方法を試したっていいじゃないですか。 かかったのはおみくじ代だけ。 安いもんでしょう。

では始めます。

その前に、幸せになるためには、いくつかのステップがありますので、今日のところは第一段階だけお教えします。 また折々、教えますので、あせらなくてだいじょうぶですからね!

1) ゆっくり ゆっくり 呼吸をしましょう。

特に辛いとか、憎らしいとか、悲しい、悔しい、などなど ネガティブな感情が出たときに有効です。 たかが呼吸ですが、これは魔法の武器です。 

ネガティブな感情の時以外も、年中やったっていいんですよ。 

ゆっくり ゆっくり 呼吸してください。 呼吸は、「生きてます!」って強く示すことなんです。 この世界に示しましょう。

2) 2,3秒 うれしがってください。

えっ 意味がわからないって? では具体的に説明しましょう。 あなたは今、問題を抱えて苦しんでいます。 あなたは、24時間ずっと苦しいと思い込んでいます。

思い込んでいるのです。 ほんとは2,3秒間 うれしいことがあるんですよ。 たとえばここに来れたのはなぜですか? ある程度の時間、お金、そして何よりも、ここに来れる程度の健康があるってことですよね。

2,3秒間でしたら、どなたにも幸せな時間があるのです。 さがしてごらんなさい。 一つでいいから。 すごくつまらないことでいいんですよ。

空が青かった。 風が心地よかった。 のどが渇いてお茶を飲んだ。 どれもうれしいことですね。 空が茶色だったら不気味だし、風で体が吹き飛ばされたら大変なことだし、のどが渇いているのに何も飲めなかったら、命にかかわりますよね。

悩んでいるあなたも、瞬時でしたら、うれしいと思う時があるのです。 それを大げさに感じてください。 

あなたの心は悲しみを感じました。 でもそれ以上に、うれしさも感じられます。


そして、ここが一番大事なのですが、うれしがることがなぜいいのか。 ここですね。

うれしいと感じるってことは、同時に感謝をしているのです。 だれだれさん、ありがとうとは言わないけれど、無意識に感謝をしているのです。

そして感謝は、すべてを救う鍵なのです。 

「ありがとう」が、あなたを救うのです。 というか、本当は既にあなたも知っているのです。 あなたの魂は、「ありがとう」の偉大さを知っています。

あなたはそれを忘れてしまっているだけ。 あなたの本質は愛です。 一時的にひねくれているかも知れないけど、本質は愛です。

あなたは知っています。 愛のよろこびを。 感謝のよろこびを。

ところであなたは言うでしょう。 騙されないぞ。 自分はこんなにも不運だ、不幸だ。 愛もへったくれもあるか。

ではもう一度だけ。

どんな状況のあなたにもできること。 それが1)と2)なのです。

ゆっくり ゆっくり呼吸すること。

2,3秒でいいから、うれしがること。

本当のあなたはこれをやりたがっています。 おやりなさい。 誰も見てませんよ。 心配しないで。

他にもいくつか方法がありますが、今回 大凶のおみくじを引いたあなたに、一番基本的で大切なことをお教えしました。 あなたはラッキーです!

今日は当神社にお越しいただきありがとうございました。

またよろしかったら、いつでもいらしてください」




この話を聞いた私はA君に聞かずにいられなかった。

その後、どうなったのかを。

A君いわく、彼はとりあえずこれを実践したのだという。 深い呼吸と、2,3秒間うれしがるというのを。

疑り深いA君は、最初は効き目を感じられなかった。 

そこで何度となく、この神社を訪れ、そのたびにおみくじを引いてみたのだそうだ。

ある時は凶、ある時は吉。 ある時はまたまた大凶。

どのおみくじも巻物になっていた。 そしてどのおみくじにも、別の書き方で幸せのコツが示されていたそうだ。

だが・・・

A君の話では、大凶のおみくじが一番親切なおみくじで、毎回引くたびに、具体的な幸せのコツが事細かに、ていねいに書かれていたという。

どこまでも幸せなおみくじ。 私も一つ引きにいくとするか。

今から楽しみである。



~おしまい~


読んでくれてありがとう。 他のお話も読みたいという方は、こちらもどうぞ!


関連記事


この記事へのトラックバックURL
http://shydreamer.blog21.fc2.com/tb.php/2410-f1ecf58d
この記事へのトラックバック
この記事へのコメント
このところ少々疲れていたのですが、
何だかスッキリしましたよー。

不思議なおみくじの話??
Posted by ボス。 at 2010.01.22 21:46 | 編集
本当に有ったなら、3Bbakuも引いてみたいです (*ノノ)
いつもポジティブな3Bbakuですが、
最近ちょっと凹み気味 (ノ_・。)
おみくじで癒されたいなぁ (*´∀`*)

では、訪問記念にポチッと。。。
Posted by 3Bbaku at 2010.01.22 22:49 | 編集
こんにちは。
スッキリですか。 よかった。
ボスさんならだいじょうぶ。
私 信じてます♪
Posted by シャイドリーマーより ボスさんへ at 2010.01.23 08:41 | 編集
こんにちは。

はじめましてなのかも知れないけど
たびたび拝見してたので、お初って気がしないですね。
少し凹み気味ですか・・・
どうか癒されますように。
ぽちっとありがとうございます。
優しさと縁に 感謝します♪
Posted by シャイドリーマーより 3Bbakuさんへ at 2010.01.23 08:44 | 編集
管理者にだけ表示を許可する