川の妖精 (幸せになれるオリジナル小説)

Category : ミニ小説
川の妖精


その穏やかな川は唯(ゆい)の家の前にありました。 まだ9歳の唯でしたが、彼女の好きなことはなんと川の前のベンチに腰掛け川を眺めること。 それをしているとなんとなく落ち着くというのです。

今日も唯は川を眺めています。 ぼーっとベンチに腰掛けて。 

ただ今日の彼女は少し様子が違いました。 小さな胸を痛めていたのです。 誰にも打ち明けていないけれど、彼女はあることで悩んでいたのです。

と、不思議なことが起こりました。

川の水面のキラキラが持ち上がり、白い煙のようなものがもわっと形を現したのです。 それはまるで天使のような形をしていました。 

次の瞬間、唯は思わずうろたえてしまいました。 なんとその天使さんが話しかけてきたからです。

「唯ちゃん わたしは川の妖精です。 いつも川を見に来てくれてありがとう」

唯はキョロキョロあたりを見渡しました。 他に誰もいません。 

「こわがらなくていいんですよ。 わたしの姿は唯ちゃんにしか見えません。 わたしの声は唯ちゃんにしか届きません」

そして川の妖精はこんなことをいいはじめました。

「唯ちゃんは悲しいのね。 お友達のことで困ったことがあるのね。 わたしにはわかるんですよ、唯ちゃんの心の中が」

誰にもいったことないのに! 唯は驚きすぎて、ドッキンドッキンしてしまいました。

「心の中がわかるの?」

「ええ。 唯ちゃんはお友達のひとりにいじめられているのね」

そうでした、確かに。 ここのところずっと、ある一人の友達にいじわるをされていたのです。 相手は女の子ですから乱暴なことはしませんが、ひどいことばかりいうのです。

唯がテストでいい点を取ったり、新しい洋服を着てきたりすると、かならず傷つけることをいうのです。 先生や他の友達の前では決していいません。 二人だけの時を選んでいいに来るのです。

唯は思っていました。 

「あの子のことを嫌いたくない。 いじわるされても唯は仕返ししたくない。 だって”イジワル”するって自分でもとても嫌な気持ちになるから」

「でもやっぱり、いじわるされると心がシクシク泣いてしまうの。 どうしたらいいのかなあ。 絶対 お母さんにはいいたくないよ。 だってあの子が怒られるかもしれないもん」

さらに、川の妖精は唯に語りかけました。

「唯ちゃんあのね、いじわるする子は幸せじゃないの。 なにか嫌な事があって幸せじゃないから、いじわるをしてしまうの。 唯ちゃんにはわかりますよね」

唯は素直に答えました。

「はい、わかります。 あの子のお母さんはとてもこわいの。 本当はいやなのに、たくさん塾に行かされてる。 本当は算数じゃなくてピアノがやりたいのに、あの子のお母さんはダメだって。 お勉強のほうが大切なんだって」

「唯ちゃん、あなたはとってもやさしい子ですね。 ではごほうびに、これからどうしたらいいのかをわたしが教えてあげましょう。 よーく聞いててくださいね」

それから川の妖精は、唯にわかる言葉を使ってどうしたらいいかを教えてくれました。

それでこの下の部分からは、妖精の教えてくれたことをかいつまんで書きますね。 

本当はもっと長いんだけど、短くまとめて書きます、それも子供用ではかえってわかりにくいと思うので、中学生以上向けに書き換えますね。

-------------------------------------------------------------------

子どもでも大人でも、いじわるをする人はかならずいます。 とてもかわいそうな人たちです。 

どうしてかといえば、いじわるをする人たちは満ち足りていない、不幸な人たちだからです。

いじわるをされて腹を立てるのは当然です。 ショックを受けるのも当然です。 あなたのリアクションは当然のものです。

ではこの先、どうしたらいいでしょう。

仕返しをしますか?

他の弱い相手を探していじわるしますか?

八つ当たりしますか?

よーく心に聞いてみましょう。 あなたはいじわるをされて傷つきました。 本当のあなた。 人を傷つけたいですか? いじわるして気持ちいいですか?

答えはNOですよね!

あなたはそれを求めていません。 求めていないことをすることはありませんよね。 

これからもいじわるな人はあなたを傷つけるかもしれません。 そしたら、ただ「かわいそうな人なんだから仕方ない」 そう思っていましょう。

でももっとステップアップしたい場合は、ゆるしましょう。 

どーんと太っ腹に。 

ゆるしましょう。

どんな言葉をいわれたか蒸し返すのではなく、ただ ただゆるしましょう。

さらにステップアップしたいですか?

では、祈りましょう。 

どうせなら心をこめて祈りましょう。

かわいそうな人がかわいそうでなくなるように。 幸せになるように。 

祈りましょう。 ただ ただ 祈りましょう。

ゆるして祈る。 ゆるして祈る。

これを繰り返しているうちに、だんだんあなたは幸せになっていきます。 もしかしたら相手も幸せになれるかもしれません。

ゆるすこと。 祈ること。

この2つを忘れないでいましょう。

---------------------------------------------------------------

一週間後。 唯はまた川に来ました。 今日は眺めに来たのではありません。 お礼をいいに来たのです。

でも、残念ながら、川の妖精は現われませんでした。

それでも唯は呼びかけました。

「おーい 川の妖精さーん。 いいことを教えてくれてありがとう。 唯はあの子をゆるしました。 あの子のために祈りました。 

まだあの子となかよくなれません。 でも、かならず”おはよう”っていうようにしました。 昨日、唯が落とした消しゴムをあの子が拾ってくれました。 だから”ありがとう”っていいました。

今は無理でも、いつかはなかよくなれると思います。 唯は信じてます。 

時々いじわるされても、唯はあの子をゆるします。 あの子じゃなくても、他の子でもゆるします。 

いじわるされても、唯はあの子や他の子のこと、お祈りします。 幸せになれますようにって。

妖精さん ありがとう~。 また遊びに来ますね!」

妖精は二度と現われることはありませんでしたが、そのかわり、風がそよそよっと吹いて合図をしてくれました。 

水面は日の光に照らされ、きらきら輝いています。 今日も快晴です。


~おしまい~


読んでくれてありがとう。 他のお話も読みたいという方は、こちらもどうぞ!


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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

Comment

川の妖精

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ミオさんへ

こんにちは。
お返事遅くなりすみません。
少々長めのSSも読んでくださってありがとうございます。
それに的確な感想も感激です。

ミオさんも今日から連休かな・・・?
素敵な休日を過ごしてくださいね♪

こんにちは
シャイドリーマーさん^^

そうですね
人にやられたからといって
やり返してたりしたら
自分の心は痛いだけ
だったら許す
許して祈る
いじめられて悲しく苦しい気持ちも
人にやり返す痛みよりはいいのではないでしょうか

人をねたんだり憎んだりしていると
自分の幸せは逃げていってしまう
そう友達も言ってました

人に対して優しい気持ちでいたら
意地悪してきた人もいつか
わかり合える友達に変わっていくと信じています^^

優月さんへ

こんにちは~。

休日楽しく過ごしてますかー。
優月さんってやっぱり 優しい。
そしてお友達も優しい。
類は友を呼びますね。
世の中の人たちが皆、優月さんのような考え方になれば
平和になるだろうなって思いました。
では引き続き、HAPPYな土曜日 お過ごしください。

と、りとめ。もなく・・・

   はじめまして。
 トラックバックで貼り付ければいいところなれど、オイラのつたない「感じる童話」モドキをUPさせてもらいました。


 その昔の大昔、川を挟んだ両岸で二本の木が芽を出した。 毎日々、おたがいを観め合い、風に乗せた言葉で語り合う二本の木。 
 ある日の暴風の爆雨の中、二本の木はお互いに支え愛たいと叫べど大地を動けぬ二本の木には足がなかった。宿命といえど移動することが出来ぬ二本の木は「成長」することしかお互いが寄り添えぬ事に気づき嘆いた。
 それから十年・百年・千年と大地に根を張り、浅はかな人類の歴史をジッと見詰め、成長を続けていった。  そして、やがて。 いつのころか、ニ本の木は河の流れすら曲げる大樹に育ち『夫婦神木』と崇められるようになったとさ。.

 しかし、愚かな漢字学者は[サンズイに木ふたつ]を淋(さみ)しいと表したのである。その上、快楽がもたらしたあとの病気を「淋病」と名付けた。同じ「リン」でも廻り回って移る病ならば「輪病」。ペットの隣りの人から持らったならば「隣病」。たまたま一時的にかかったならば「臨病」。何も「淋しい病」とネーミングするごとはないじゃないか!


yuusuke320さんへ

はじめまして。

わ、個性的な童話を披露してくれて、ありがとうございました。
お子さんにはちょっとオチの部分が・・・でも
ほとんど大人の方が読者なので、まあいいか。
また訪問しますね。 
今日はありがとうございます。

SSの趣き

初めまして。
SS読ませて頂きました!!
SSと言えば、皮肉と「毒」が織りなす、工学美すら感じる文学作品と評するにふさわしい、星新一先生の作品しか読んだことのない僕ですが、
はい、ストレートなSSも嫌いではないことに気が付きました。
それと同時に、最後にどうしてもひねりを欲しがる僕の
荒み様に苦笑いをしてしまいました。。

せいちゃんさんへ

こんばんは。

私も星新一さんの作品 好きです。
中学生の頃、たくさん読みました。 なつかしいですね。
思いがけないオチも好きなのですが、テーマに沿ったものだと
ストレートになりがちになってしまって。
ま、たまにはいいかなってことで、楽しんでいただければ幸いです。
今日はありがとうございました。
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