おすそ分けだんご



おすそ分けだんご


〇〇県〇〇市。 ここに有名なおだんご屋さんがあります。 有名なのはだんごだけではありません。 いわゆる名物女将ってのがいるんですね。

この女将さんはおいしいおだんごを提供してくれるだけでなく、人生も教えてくれるんだそうです。 本当でしょうか? ちょっと様子をうかがってみましょう。

今、店に小学生の女の子がやって来ました。 近所に越してきた優花という子です。 彼女は小学生ながら、和風甘味が大好き。 通なんです。

優花には妹がふたりいます。 妹たちは何かというと優花につきまとって来たがって、まぁかわいいんですけど、なんかうっとうしい時があるんですね。

今日は優花ひとり。 妹たちはお留守番です。

「おばさん、この店で一番人気のおだんごくださいな」

優花が声をかけると、かっぽう着姿の50代くらいの女将が現われました。 女将はにこにこしながら

「あら、今日はひとりで来たの? 一番人気といえば”おすそ分けだんご”だけど、それでいい?」

と聞きました。

「はい。 一本だけお願いします。 ここで食べていきたいの」

女将さんはたった一本でも気持ちよく売ってくれます。 お店には、時代劇ドラマに出てくるような、茶店風のイスがあって、ここで食べていくこともできるのです。

そういうお客さんには、渋い緑茶も用意されています。 こちらはサービスです。

通の優花は、おすそ分けだんごを一本受け取りました。 そして、子どもながら渋いお茶と一緒に、そのおだんごをいただきました。

「どう? おいしい?」と女将は覗き込むように聞きます。 子どもは正直ですね。 こんな感想をもらしました。

「うーん、前来たときの方がおいしかったかも。 なんでだろう?」

女将さんは嫌な顔もせず、優花の隣に腰掛け説明を始めました。

「前来たときは、家族みんなで来たでしょう? 皆で食べたのよね。 このおだんごは”おすそ分けだんご”といって、皆で分け合って食べるともっとおいしくなるおだんごなのよ」

「でもどうして? おなじおだんごなのに。 味が変わるの?」

「そうねぇ。 味が変わるわけじゃないけど・・・じゃあ、もっと詳しく説明しましょうか?」

「うん、お願い!」

ということで、女将さんはこんな説明を始めました。 

本当はもっと子供向けの言葉で説明したのですが、これを読んでくれてる、既に大人のあなたのために、大体のところを大人用に要約しますね。

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「大抵の人には欲というものがあります。 好きな物、得なことを自分だけで楽しみたい、人にあげたくない、分けたくないと思ってしまうのです」

「ですが、なぜだか、その方法だと思ったより楽しめません。 どんなにおいしいものであっても、どんなに高級なものであっても、独占していると楽しめません」

「たとえば、おだんごを例にしましょう。 おいしいおだんご。 一人で食べても分け合って食べても同じ味ですが、それでも分け合って食べた方がおいしいし、楽しいし、うれしいのです」

「おだんごを分けるということはどういうことでしょう? それは単に食べ物の分配ではなく、”愛”を持って分けている。 つまり、愛を分け合っているのと同じことなんですね」

「愛は分けると広がります。 愛は分けると二倍にも三倍にも増えるのです。 愛をもらった人もあげた人も幸せになります」

「人に分けてしまうと、一見損のように見えますが、実は一番お得ってことなんですね」

「自分も家族も、よその人も、皆が幸せになる方法。 それが愛を分け合うということなのです」

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ってなことをですね、女将さんは子どもでもわかるような言葉を使って教えてくれました。

既に大人のあなた、納得できましたでしょうか?

優花は納得できたようです。 早速、次の日、妹たちを引き連れてやって来ました。 

そこには、特に好物のピンクのおだんごを、妹に分けてあげる、やさしいおねえちゃんの姿があったそうですよ。

あなたも、おすそ分けだんご、いかが? もちろん分け合って食べてくださいね。 


~おしまい~


読んでくれてありがとう。 他のお話も読みたいという方は、こちらもどうぞ!

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Comment

小説もお書きになるんですね。びっくりしました。
Re: タイトルなし
俊樹さん

今日もコメントありがとうございます。
暑いですねー・・・

小説はブログに沿うように、癒しや元気をテーマに
してるので、こじつけっぽいんですヨ。

10代(はるか昔)は小説オンリーでしたが
ここ数年、詩の方が書きやすくなってます。

いずれにしても、今後ともどうぞよろしくお願いします♪
  • 2012/08/02 10:36
  • シャイドリーマー (Shy Dreamer)
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