2009.12.13

羨ましがりやの さっちゃん(幸せになれるオリジナル小説)

羨ましがりやの さっちゃん


ある町に、人一倍羨ましがりやの女の子が住んでいました。 その女の子、さっちゃんはいつも誰かを羨ましがっていました。

いいな。 〇〇ちゃんはいいな。 うらやましいなぁ! これが口ぐせ。 そのたびにお母さんに

「人は人、さっちゃんはさっちゃんでしょ。 羨ましがってたってどうにもならないでしょう」

と諭されていたのですが、効き目はまるでなし。 さっちゃんには、まわりの友達のほとんどが、自分よりしあわせに見えてしまうのです。




特に、同じクラスのレナちゃん。 この子はさっちゃんがもっとも羨ましがる女の子のひとり。 なぜなら、レナちゃんのお家はものすごく大きくて、きれいだからです。

レナちゃんのお父さんは、どこか大きな会社の社長さんで、お母さんもモデルさんみたいにきれいな人。 レナちゃんはなんでも好きなもの買ってもらえて、かわいい服を着ていて、いつも幸せそうな顔をしています。

さっちゃんはそんなレナちゃんが、羨ましくて仕方ないのでした。




もう一人、羨ましくてたまらない子がいます。 児童館で知り合った、隣町の女の子のトモちゃんです。 トモちゃんは、レナちゃんのようなお金持ちの子ではなさそうですが、色白でとてもかわいい顔をしているのです。

だから男の子に人気があります。 また、いつもニコニコして明るいので、女の子たちにも好かれています。 つまり、誰からも好かれているのです。




ある日のこと。 その日のさっちゃんは一人で留守番をしていました。 もう4年生なので、留守番くらいはできるんですね。 うるさいお母さんがいなくて、さっちゃんは羽を伸ばしてゆっくりしていました。

ひとりでお気に入りのアニメを見ようと、DVDの再生ボタンを押すと・・・

なんと見知らぬ男が画面いっぱいに現れたではありませんか。 驚くさっちゃんに、間髪を入れず、その男は一方的に話し始めました。

「羨ましがりやの さっちゃん、こんにちは。 これから、あなただけに取っておきの映像をお見せします。 お友達のヒミツ映像です。 一回しかお見せできないので、よく見ててくださいね」




そう言ったかと思うと、男は消え、そのかわり見覚えのある顔が映し出されました。 それは・・・
さっちゃんが誰よりも羨ましいと思っていたレナちゃんでした。

どうやら、レナちゃんのお家の中が隠し撮りされているようです。 いいのかな? こんなの見ちゃって。 そう思いながらも、さっちゃんは食い入るように画面を見つめてしまいました。

よく見ると、レナちゃんはしくしく泣いていました。 そのそばで大人たちの怒鳴り声がしています。 カメラが引いていくと、今度はその大人たちが映し出されました。

レナちゃんのお父さんとお母さんでした。 お金持ちで上品そうなレナちゃんの両親が、顔を真っ赤にして怒鳴りあっています。 ケンカしているのです。

と、レナちゃんの声が聞こえました。

「いつもケンカばっかり。 レナ、こんなお家、もうイヤだ!」

さっちゃんは唖然としました。 レナちゃんはお金持ちの子で、いつもほしいもの買ってもらえて、海外旅行にも連れてってもらえて、いい服いっぱい持っていて・・・

いいことだらけだと思っていたのに。 いつもお父さんとお母さんがケンカしてたの? あんな風に怒鳴りあってたの?



・・・と、今度は別の映像が映し出されました。 今度は、児童館の人気者、トモちゃんです。 学校のお友達じゃないので、トモちゃんのことはよく知らなかったのですが、どうやら映っているのはトモちゃんとお母さんのようです。

トモちゃんはお母さんに薬をもらって、飲むところでした。 トモちゃんの顔はいつも以上に白く、とても弱々しそうに見えます。

お母さんが何か言っています。 トモちゃんに言い聞かせているようです。

「トモちゃん、今日は児童館は無理ね。 またよくなったらにしましょう。 去年のように入院になったら大変だからね。 お薬飲んで寝てましょう」

するとトモちゃんは

「学校では、みんなわたしの病気のこと知ってるけど、児童館では誰も知らないの。 あそこに行くと元気で明るい子になった気がして、とっても楽しいのになぁ」

「病気 治るのかな。 みんなみたいに元気になれる日が来るのかなあ」

さっちゃんが驚いたのはいうまでもありません。 病気のこと、全然知らなかったのです。 てっきり、トモちゃんは幸せで元気な子だとばかり、思っていたのでした。



その日以来、さっちゃんは、羨ましがりやの汚名を返上して、友達のことをむやみに羨ましがらなくなりました。  すると不思議なもので、自分自身のことが少し好きになってきたのです。

わたしだって、まあまあ幸せ、ううん、まあまあじゃなくて、とっても幸せとさっちゃんは思っています。

 
さっちゃんはもはや羨ましがりませんが、そのかわり、別の習慣が身につきました。 それは、こんな習慣です。 寝る前に、さっちゃんは手を合わせます。 そして、こう呟きます。



今日もぶじに過ごせました。 ありがとうございます。 わたしとわたしの家族が明日も幸せでいられますように」

「レナちゃんのお父さんとお母さんがケンカしなくなりますように。 レナちゃんが泣かなくてすむようになりますように」

「トモちゃんの病気が治りますように。 元気になって児童館に来れるようになりますように」

「よくばりなお願いですみませんが、できれば世界中の人たちがみーんな幸せになれますように」

「大好きな、やさしい神様、よろしくおねがいします!」



~おしまい~


読んでくれてありがとう。 他のお話も読みたいという方は、こちらもどうぞ!

関連記事


この記事へのトラックバックURL
http://shydreamer.blog21.fc2.com/tb.php/1955-b9694bb7
この記事へのトラックバック
この記事へのコメント
シャイさん再びこんばんは♪
その人でなければわからないことはたくさんありますよね。見えてるところが全てじゃないんですよね。
大きな幸せでも気がつかなければ幸せじゃないし、小さなことでも気がつけば幸せな気分になれますよね。
住んでるところも違えば考え方も価値観も違う…やっぱり人は人、さっちゃんのお母さんの言うとおりだと思います。
いつも忘れかけてる大切なものをどうもありがとう。
Posted by 紫桜 凛 at 2009.08.04 00:28 | 編集
とてもよくわかります! 私も、一昔「いいなぁ~ いいなぁ~」が口癖で友人から 「またいいなぁ病が出たよ!」とよく言われていました。 でも、皆それぞれに見えない悩みがあるんですよね。 今日も、とても解りやすいSSをありがとう!
Posted by ユカリ at 2009.08.04 06:41 | 編集
こんにちは。

> その人でなければわからないことはたくさんありますよね。見えてるところが全てじゃないんですよね。
> 大きな幸せでも気がつかなければ幸せじゃないし、小さなことでも気がつけば幸せな気分になれますよね。

凛さんがかわりに言ってくれた気がします。
ほんとに人に歴史ありですよね。
それに、小さなことが実はすごい幸せだったり。
気づくか 気づかないか ですね。

> いつも忘れかけてる大切なものをどうもありがとう。

いえいえ、こちらこそ いつもていねいな優しいコメントありがとう。
Posted by シャイドリーマーより 紫桜 凛さんへ at 2009.08.04 09:36 | 編集
こんにちは。

私も昔はよく人を、うらやましがったものです。
今はだいぶ改善されました・・・で、羨ましがらなくなったほうが
幸せを感じやすくなりましたネ。
単純なSSでしたが、楽しんでいただけてうれしいです♪
Posted by シャイドリーマーより ユカリさんへ at 2009.08.04 09:42 | 編集
こんにちは!
人のものを羨ましがるのって、なんかわかります。
私も、そういうての人ですから・・・^^;;;
人のものを羨ましがってそれを手にいれても、
全然嬉しくない・・・。
そういうことが殆どですね・・><
実は、自分もそれと同じくらいのものを持っているのに、
自分の事って見えてないんですよね。
「隣の芝生は青い」ってこういうときに使うものでしょうか・・・。
自分にないものって確かに羨ましいですが、
でも、やっぱり、どんな些細な事、平凡でも
普通が一番いいのかもって思います!!
すいません、今日、あまりうまくコメントできなくて・・・><


Posted by sugar salt at 2009.08.04 17:41 | 編集
こんにちは。

> 実は、自分もそれと同じくらいのものを持っているのに、
> 自分の事って見えてないんですよね。
> 「隣の芝生は青い」ってこういうときに使うものでしょうか・・・。

ああ、そうそう、それですね。
なぜだか、隣の芝は青く見えるんですよね。

> 自分にないものって確かに羨ましいですが、
> でも、やっぱり、どんな些細な事、平凡でも
> 普通が一番いいのかもって思います!!
> すいません、今日、あまりうまくコメントできなくて・・・><

そう思います。 その人らしい、さりげない幸せが一番の幸せ
なのでしょうね。 sugar saltさんの思い、感想 十分伝わってきましたよ。
いつも、ありがとうございます!
Posted by シャイドリーマーより sugar saltさんへ at 2009.08.04 18:00 | 編集
管理者にだけ表示を許可する