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過去を変えても・・・

過去を変えても・・・

その人(仮にAと呼ぼう)は人生の大半、悩み続けてきた。 幸福感を感じられないまま生きてきた。 それは自分の過去に起因すると、Aは考えていた。

Aの両親は仲が悪く、家庭内にはいつもピリピリ感が漂っていた。 幼いAは両親に嫌われないよう、顔色をうかがって行動するのが習慣になっていた。 本来、やさしく守ってくれる存在の母も、子どもに無関心な変わった親にしか見えなかった。

中高生になったAは友達との関係に悩むようになった。 いつの間にか仲間はずれにされ、孤独な日々を過ごした。 大学も受験に失敗し志望校には入れなかった。 仕方なく、すべり止めに入学することとなった。

そのため大手企業にも就職できなかった。 小さな会社を転々としているうち、やっと理想の彼と出会えた・・・と思ったのだが、それもつかの間、彼はAを置いて去っていった。



と、こんなところがAのいう、暗い過去の粗筋である。 



Aはよく夢を見る性質(たち)で、その日、誰もいない部屋でひとり眠っていた。

不思議な夢を見るのは珍しいことではない。 が、その日見た夢は一風変わっていた。 夢に出てきたのは、見たこともない白髪の老人だった。 老人はAに呼びかけた。

「お嬢さん、過去を変えたいと思ったことはないかね?」

Aは自分で夢を見ているということを自覚していた。 夢なんだから本音がいえる。 そう思ったAは

「もちろんですよ。 過去さえ変えられれば、きっと私も幸せになれるんです。 さかのぼれば生まれたときから、私はついてなかった。 環境に恵まれてなかったんです」

「では、過去を変えてみよう。 どんな過去にしたいかね?」

「どうせこれは夢だから、もう好きにいっちゃいますけど。 第一に、もっと優しくて子煩悩な両親の子に生まれたいですね。 いじめにあわない子に育ちたいし、それと大学も第一志望に受かりたいし有名企業に就職したいし、そうすれば社内かなんかで素敵な彼氏と出会えると思うし」

「よろしい。 ではシュミレーションを見てみよう。 早回しで映すよ」



と映像が現われた。 いわば映画のようなものである。 Aの望み通り、理想的な両親のもとで生まれ、いじめられることもなく育ち、希望通りの学校に入り、そして卒業、一流企業に就職。 さらに素敵な彼もできる。

そんな映像が早回しで再生された。 と、その後のAが映し出された。 

「過去を変えてからの様子を見てみよう」

と、老人がいうと、すばらしい過去を経験した後のA(シュミレーションの)が現われた。 



さぞ幸せになっているだろう、と思いきや、映像のAは沈んでいる。 暗い顔をしている。 

「あ~あ どうして私は幸せになれないんだろう。 両親のことは尊敬してるけど、なんかいちいちうるさいし。 中高生の頃はいじめられはしなかったけど、あんまり楽しいこともなかったなぁ。 大学も退屈だったし。 今の彼はやさしいけど、いつか浮気するんじゃないかしら。 私はどうせ幸せにはなれないんだわ」

それを見たAは驚いて、老人にたずねた。

「どういうことですか? 過去を変えたのに、なぜ私は悩んでるの? どうして幸せを感じてないの? 過去さえ違っていれば、すべてうまくいくはずなのに」



すると老人は静かに説明を始めた。

「それは、きみの内面に問題があるからだよ。 どんな恵まれた過去であっても同じことだ。 きみは結局、満足しない。 常に幸せでない理由を見つけようとする。 悩みを自分で作ってるんだ」

「きみは否定するだろうが、これではみずから不幸を選んでいるのと同じことだよ。 幸せになりたくないと宣言してるのと同じことだよ」

「人は生まれや環境のせいにしようとする。 その方が楽だからね。 何かのせいにしている間は、ホンモノの幸せは来ないんだ」

「きみは賢いお嬢さんだ。 これからは”過去を変える”のではなく、未来を築いていったらどうかね」



そうするにはどうしたらいいんでしょう?とAが聞こうとした時、夢から覚めてしまった。 夢とはそういうものである。 



でもこのリアルな夢を見たことで、Aは少しだけ気づき始めている。 自分を不幸だと感じてしまう理由が、過去にあったのではないということを。 

まずは過去や親や環境のせいにするのはやめよう、とAは思った。 そして・・・まわりの小さなことに感謝することから始めようと、思い始めているところである。
  


~おしまい~


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数字シンクロと悩めるOLの話


数字シンクロと悩めるOLの話


理数系OLの恵子は合理的な性格。 目に見えないものは信じない、科学的根拠のないものは信じないというタイプだった。

ところが最近、そんな恵子を惑わすことが頻繁に起きている。 それは

名づけるなら 「数字シンクロ」とでも呼ぶべきか!? ここ一ヶ月以上、同じ数字がどこかに現われるという現象が起きているのだ。

これだけでは説明不足なので、もう少し具体的に話そう。 たとえば恵子がふと時計に目をやる。 すると1時18分。 友達からのメールを受信する。 すると8時18分。

まだまだある。 どこかの住所を調べていると、番地が18番地。 何かの整理券をもらうと18番目。 とにもかくにも、数字を目にするたび、「18」が出てくるというわけだ。

恵子はこの数字が嫌いだった。 これから理由を説明すべく、先に話を進めるとしよう。

いくら理数系の恵子でも、これだけ続くと不安になる。 偶然にも、会社の同僚の母親は知る人ぞ知るスピリチュアル・カウンセラーだった。 ということで思い切ってこの同僚に相談することにした。

と、場面変わって、ここは同僚の自宅である。 同僚は気持ちよく、母親を恵子に紹介してくれたのだった。

ここからはかなりスピリチュアルな内容になるので、興味ある方だけ読んでいただきたい。

同僚の母親は恵子の語る数字シンクロの話を聞くと、なぜだかにっこり微笑んだ。 彼女はいった。

「あなたの場合、全く心配いりませんよ。 これはいい兆しですから」

「えっ いい兆し? どういうことでしょうか。 私、実は18という数字が一番嫌いなんです。 嫌いな数字が年中現われるって、逆に縁起が悪いのではないですか?」

母親はお茶を一杯すすると、ゆっくり話し始めた。

「あなたにはご兄弟がいましたね。 若くして亡くなった方。 お姉さんだと思うのですが」

恵子ははっとした。 

「はい、いました。 姉がいましたが15年前に亡くなったんです。 それも・・・」

ここで恵子は躊躇した。 言いづらい事情があったからだ。

「私には遠慮しなくていいんですよ。 すべてわかってますから。 お姉さんは自ら命を絶たれたのですね? お姉さんは18歳で、それも18日に亡くなった。 だからあなたは”18”の数字が嫌いなんですよね」

「そんなことまでわかるんですか? でもその通りです。 あの・・・姉は天国に行けたのでしょうか」

「そのことなら心配いりません。 今はだいじょうぶです。 ・・・ただ後悔しているのです」

同僚の母親はさらにゆっくりと言葉を選んで、話をつづけた。

「お姉さんには夢がありましたが、志半ばで挫折してしまったのです。 恵子さんには、自分のような思いをさせたくない、後悔しない人生を送ってほしいといっています」

「姉がそこにいるんですか?」

「ええ。 でもあなたには見えません。 私はお姉さんの言葉を伝えるだけしかできないんです。 でもこのことをお話すれば、数字シンクロの謎も同時に解けますよ。 よくお聞きになってくださいね」

「あなたは数字シンクロが起こる前から、ずっと悩んでいましたね。 今の仕事を続けるか、それともウェブデザイナーの道に進み直すか。

あなたは密かに、大好きだったウェブデザインの勉強を何年も続けていた。 そしてついに、ある方に認められて、独立しないかと誘われたのですよね。 

でも石橋を叩いて渡る性格のあなたは決心がつかない。 心の中で、あなたはお姉さんに質問しているはずです。 答を教えてって。 どうすべきなのか教えてほしいって。

ですが同時に、自分自身でも結論を出していますよね。 つまり二束のわらじをはくと。 両方やっていくうち、答が出るだろうと。 それでもあなたはまだ不安でいる。 一度決めたのに。 また迷いが出てきてるんですよね。

そんなあなたを、お姉さんはちょっとじれったく思っているんです。 あなたは自分で答を出したではないですか。 

それがベストの答えだと自分でわかりさえすれば、あなたも前に進めますよね。 そこでお姉さんは、そのことをあなたに知らせようと思ったのです。

お姉さんはあなただけにわかる「数字」を送り続けました。 それが”18”だったのです。 お姉さんからのメッセージだったんです。 縁起が悪いわけじゃない。 むしろいいことだったんですよ。 

あ、ちょっと待ってくださいね。 お姉さんがさらに何かいおうとしています。 お姉さんはこういってます。 

これからは18の数字が現われても驚かないで。 それは私が送ったものだから。 あなたには私の姿は見えないし声も聞こえない。 だからこういう手段で送り続けるの。

でもあなたのためにならないから、100%の答を教えることはできません。 今回のように、あなたが自分で答を見つけるのよ。 ”18”の数字は ”応援してるよ。 その調子”という意味だからね。

覚えていて。 あなたは私に会えなくてさびしいというけど、私からあなたは見えてるし、いつもあなたを見守っている。 あなたが私の名を呼びさえすれば、私は光よりも速い速度でかけつけ、あなたの肩を優しく抱くわ。 あなたは気づくかしら? なんとなく風が吹いてきたくらいにしか、思えないかもしれないわね。

でもそれは私なのよ。 覚えていて。 肉体が滅びても、私はいつまでもあなたの姉。 私はあなたを見守り続ける。 応援し続ける。 だから夢をあきらめず前に進んでいって」

同僚の家を出る頃には、恵子の心はとても明るく軽やかになっていた。 理数系だろうと何だろうと、恵子は信じる。 誰でもない、愛する姉の言葉なのだから。 

恵子がひとり暮らしのアパートにたどり着いたとき、時計のデジタルが 18:18:18(18時18分18秒)を示していたことはいうまでもない。


~おしまい~


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