不器用な人はかわいい

不器用な人はかわいい

誰がなんと言おうとかわいい

駆け引きができなくて

計算する気もさらさらなくて

天然と指差されながら

あっちに行ったり

こっちに行ったり

いっしょうけんめいだけど

空回りするばかり

でもやっぱり・・・

不器用な人はかわいい

棚ボタは無理だけど

心配には及ばないよ

神様が味方してくれるから

今まで通り不器用なまま

生きてっていいよ
 






「大好き」という言葉しかない国 (幸せになれるオリジナル小説)

 「大好き」という言葉しかない国



その国はたいへん不思議な国でした。 好き嫌いに関して「大嫌い」という言葉がない国なのです。

えっ 意味がわからないって? では少し詳しく説明いたしましょう。

その国では、「大好き」という言葉はいくらでも自由に使えるのですが、「大嫌い」という言葉については、王様に承認してもらってからでないと使えないのです。

大人でも子どもでも、大嫌いという言葉を使いたくなったら王様のところへ行きます。 そして王様のOKが出てはじめて使えるようになるのです。



ある日のこと、一人の肉屋が王様のところにやって来ました。 肉屋は王様に訴えました。

「隣の魚屋は法を犯してます。 私のことを大嫌いだと言ってるのです。 実際、私もあいつが大嫌いなのですが、法律は守りたいのでこの言葉を使えません。 どうぞ承認してください」

王様はもっと詳しく、肉屋から話を聞きだしました。 すると、出るわ出るわ、肉屋は次々と魚屋の悪いところについて話します。

と、その時・・・新しい訪問者がやって来ました。 なんとその魚屋です。 王様のところに招きいれられた魚屋は、顔を赤くして言いました。

「確かに私は、大嫌いという言葉を使ってしまいました。 申し訳ございません。 でも! この肉屋はとんでもないやつで、私はガマンできなかったんです」

今度は魚屋の方が、肉屋がいかに嫌な人間なのかを長々語り始めました。



二人の話が終わりました。 すると王様は今度はこんなことを聞いて来ました。

「二人の話はわかった。 では今度は別の質問をしよう。 肉屋よ、魚屋の大好きなところはどこじゃ?」

「大好きなところ? 王様、お言葉ですが、大好きなところは一つもありません。 だって大嫌いなのですから」

すると魚屋も激高して叫びました。

「私だってそうですよ! こいつにいいところなんか一つもない。 大嫌いです!」



王様は腕組みをして、難しい表情を浮かべました。

「ふーむ困ったのぉ。 承認するためには段取りを踏まねばならん。 承認の前には一つでいいから、相手の大好きなところを言わなければならないという決まりなのじゃ。 まぁ、形式上のことじゃ、一つ過去のことで構わんから、互いの大好きなところを申してみてはくれんかの」

さてと。 二人は困ってしまいました。 大好きなところなんて一つもない・・・はず。 でもそれを言わないと承認してもらえない?



肉屋はしぶしぶ話し始めました。

「こいつは声が大きいんですけど、最初の頃は、大きな声で挨拶をしてくれてました。 隣同士なもので。 実に気持ちのいい挨拶で・・・」

すると魚屋も言いました。

「最初の頃、肉屋は気前が良くて、魚ばっかじゃ飽きるだろうと、肉をくれたりしてました。 最初の頃だけですけどね」



王様はにこりともせず、威厳を保ったまま、さらに聞きました。

「ほ~お、その頃は、一度でもお互いを大好きと思ったのだな?」

「はい!」

二人は同時に返事してしまいました。

「そういえば・・・最初の頃は、隣同士、商店街の活性化のために協力しあおうと誓ったこともありました。 いいやつだと思ってたんですけどね、まぁ、根は悪いやつじゃないと思うんですが、なんでこんなことに・・・」

と、肉屋が言うと、負けじと魚屋も

「それはこっちのセリフだ。 優しいやつだと思ってたのに。 そうそう、最初の頃、魚を分けてやったことがあって、肉屋の癖に、ほんとは魚が好物だと言うので大笑いしたことがあったなぁ。 懐かしいなぁ、あの頃が」

「そうそう、そんなこともあったな。 おまえのところの魚は実にうまい」

「いや、お前のところの肉こそうまいよ」

と、二人はいつの間にか褒めあうことに? 奇妙な展開になってきました。



王様は言いました。

「よし。 これで形は整った。 あとは承認スタンプを押すだけじゃ。 承認スタンプを押したら、いくらでも大嫌いという言葉が使えるようになる」

すると二人はまた同時に、「待ってください!」と言うのです。

その後、先に口を切ったのは肉屋でした。

「あのぉ~、こいつはどうか知りませんが、私の方は・・・大嫌いの承認はいりません。 実は、大嫌いを意識し続けていたら、胃がキリキリと痛くなりまして、ずっと治らなかったんです。 でも今、大好きを意識して話してたら、胃の痛いのが治りまして・・・それどころか非常に気分がいいんです。 だんだん楽しくなってきまして、だから私の承認はなしということにしていただけませんか」

すると魚屋も

「王様、実は私も・・・こいつが大嫌いと言い続けていくうち、偏頭痛に悩まされるようになりまして。 決してマネするわけじゃないですが、今、大好きの話をしてたら、頭痛のことなどけろりと忘れてすごく楽しくなってきたんです。 私にも、大嫌いの承認はいりません。 せっかくご配慮いただいたのにすみませんが・・・」



王様はにやりとしました。

「なるほど。 大嫌いの言葉を使うと具合が悪くなり、大好きを使うとよくなるということだな。 それでは、大嫌いの承認はなしということにしよう。 今日の件はあっぱれじゃから、明日一番の朝刊に載せようと思うがよいな?」

「はい、光栄でございます!」二人はまたしても同時に答えました。



そして次の日の朝のことです。 朝刊にこんな見出しが載りました。

「国一番のおいしい店、肉屋と魚屋、仲直りする」

茶目っ気のある王様は、肉屋と魚屋の宣伝も含めて大きく載せてくれたので、二つの店は大繁盛しましたとさ。 

めでたし、めでたし。




~おしまい~


読んでくれてありがとう。 他のお話も読みたいという方は、こちらもどうぞ!




遠回り 

間違ってなんかなかったよ

ただ

遠回りしただけ


いろんなもの見れるから

いろんなことわかるから

遠回りも悪くないよ


間違ってなんかなかったよ

ただ

遠回りしただけ


たくさん歩いて

転んでまた歩いて

今もまだ歩いてるけど


間違ってなんか・・・

なかったよ


ただ

遠回りしただけ
  




成長してる 

毎日が

同じことの繰り返しで

進んでないように

見えるけど


ときどき

悩みが大きすぎて

後退してくように

見えるけど


そんなことないってさ

成長してるってさ

人は成長するように

できてるんだってさ


昨日よりも今日

今日よりも明日

成長してるんだってさ
 






世界一幸せなおばあさん (幸せになれるオリジナル小説)

世界一幸せなおばあさん


ある老人ホームの日当たりのいいバルコニーに、取材を受けてお話ししている、穏やかなおばあさんがいました。

なんでも、そのおばあさんは『世界一幸せなおばあさん』といわれているそうなんです。

こっそり、おばあさんのお話を聞いてみましょう。


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まず私の少女時代からお話した方がいいかも知れませんね。 物心ついたときから、私には親がいなかったんですよ。 気がつくと、私は祖父母に育てられてたんです。

小さな頃はね、親がいないことでいじめられたこともあるんですよ。 ある日、いじめられて泣きながら帰ってきた私は、ついに祖母にいじめられた理由を言ってしまいました。

すると祖母は穏やかにこう言ったんです。

「泣く事はなにもないのよ。 あなたは世界一幸せな女の子なんだから」

「どうして私が? もしそうながら、なぜ私にはお父さんもお母さんも兄弟もいないの?」

すると祖母は私の顔をじっと見て、こう言いました。

「親がいなくても、あなたには私たちがいるでしょう。 私はね、こう見えても幸せのコツを知ってるおばあちゃんなのよ。 だから世界一幸せなおばあちゃんなの。 そんなおばあちゃんに育てられてるあなたは、世界一幸せな女の子に決まってるじゃない」

なんだかキツネにつままれたような? 私はさらに祖母に聞きました。

「幸せのコツを知ってるなら私にも教えて。 お願い!」

祖母はにっこり微笑むと、こう答えたんですよ。

「教えるのは簡単だけど、一番いい方法があるよ。 それはね、これから大きくなるまでずっと、私のやり方を見ていくこと。 観察していくことよ」

その日から、私は祖母を観察し続けました。 どんな風に考えどんな風に話し、どんな風に行動するのか。

そうすると・・・

だんだん、祖母のやり方がわかってきたんです。

えっ あなたも知りたいって? まあ、そう急がなくていいですよ。 だんだんわかりますから。

中高生の頃、私はのんびりしてるように見えたのか、時々きつい性格の友達から、いじわるされたりしてたんです。 でもね、だいじょうぶでしたよ、祖母を観察してきて学んだから。

まず、私は決していじわるな子たちを憎みませんでした。 心の中でも、ひどい言葉を発しませんでした。 

なぜ?

私が究極のお人よしだったからってわけじゃありません。 言葉にはね、力があるからです。 ひどい言葉を発せば、ひどい言葉がブーメランのように返ってくるからです。

自分のところにですよ。 相手がどんなに悪くても関係ありません。 誰でもない、自分のところに返ってきちゃうんですよ。

ではどうしたらいいか。

私は祖母の方法を取りました。

どんなに悪魔のような行動をしても本質は愛。 愛をしばし忘れてしまっている気の毒な人たち。 だから祈りました。

いじわるをされればされるほど、愛を思い出すことができますようにって祈りました。 

それだけです。 祈ったらそれで私の役割は終了。 あとはその人が愛を取り戻せても、取り戻せなくても、その人次第ということになります。

不思議なんですけどねぇ、人を憎むじゃないですか。 それって自分を憎むのと同じことなんですよね。 

そうそう、もっと駆け足で先に進みましょうか。

私は20歳の時、ある男性と恋に落ちましてね。 そして身ごもったんです。 結婚の約束をしていました。 ところが、男性がほかの女性と逃げちゃったんですよ。

この時ばかりは泣きましたね。 この頃はまだ祖母が生きていました。 かなり、よぼよぼでしたけどね。 祖母にこのことを知らせるのはとても辛かったですよ。

ところが祖母はにっこりしてこう言ったんです。

「だいじょうぶ。 あなたは世界一幸せな母親になるわ」

そうしてね、本当にそうなったんです。 

幸い、ある知人が店をやっていまして、子どもを育てながら働けるように計らってくれたんです。 ね、私って本当に幸せでしょう!

ところが店員たちにヤキモチ焼かれましてねえ、随分 いじめられましたよ。 でもね、かわいそうな人たちなの。 いじわるしてるときって、すごく人相が悪くなるのよ。 

鏡を差し出したらわかるかな?

前にも言ったように、いじめられるたび、私は祈りました。 愛を取り戻せますように!ってね。 やったことはそれだけよ。 他にエネルギーを使う必要はないもの。

ところでね、私のかわいい坊やのことなんだけど、障害があったんですね。 普通の学校には行けなかったんですよ。

でもね!

私は世界一幸せな母親だったんです。 祖母も言ってましたしねえ。

この子はとびっきりの天使だったんです。 親ばかといわれても構わない、だって本当のことだから。 

私の坊やは誰よりも澄んだ瞳を持ち、誰よりも美しい笑顔の持ち主でした。 とうとう、たどたどしいしゃべり方しかできなかったけれど、心がきれいだったから、いつも天使の顔をしてたのよ。

私を毎日癒してくれた。 こんな親孝行っていないでしょう?

本当に幸せでしたよ。

坊やは成人する直前に、天へと帰っていきました。 

本当いうと、今度こそ落ち込んでしまって。 これから何を支えに生きていけばいいのだろうって。 その時が一番時間かかりましたよ。

でもね、私とことん幸福なのね!

祖母の言葉が思い出されたんです。 「あなたは世界一幸せ・・・」そう、祖母が嘘をいうはずないんですもの。

今まで辛かったこと、結局いいことに繋がった。 それって私が世界一幸せだからじゃないかしら? そう思ったんですね。

坊やは天にいます。 いなくなったわけじゃなくて、天にいるんです。 神様と一緒だから寂しくないの。

私もいずれは天に行きます。 久々に会うとうれしさが増すでしょう? 今から楽しみですよ。

私はね、世界一幸せなおばあさんです。

老人ホームに入って訪ねてくる人もいないのにって? とんでもない! 

ちょうどあなたたち取材の方々のように、こんな私に興味を示してくれる人たちが現われてね。 不思議と次々いらっしゃるんです。

私の話をしてほしいって。

こんな話、おもしろくもないのにね。

私が話すと喜んでくれるの。 感謝してくれるんです。 喜んでもらえる。 感謝してもらえる。 こんな幸せなことはないんですよ。

私には口があり話すことができる。 皆さんには耳があり話を聞くことができる。 幸せですね。

私の歳? いくつに見えますか? もうじき95歳よ。 若く見えるでしょう!

長生きですねって? もちろん!

だって私は、世界一幸せなおばあさんですもの。

今日は私のお話、聞きに来てくれてありがとう。 


~おしまい~



読んでくれてありがとう。 他のお話も読みたいという方は、こちらもどうぞ!

雑草のうた 

あなたは雑草

わたしは雑草

わたしたちは雑草

踏まれても

踏まれても

生えてくる

生命力の強い雑草さ

こっそり泣いてるのは

知ってるよ

眉間にしわ寄せてるのも

知ってるよ

ときどき寝込んじゃうのも

知ってるよ

だけどわかってるんだ

また起き上がるって

今度こそダメと言いながら

やっぱり起き上がるって

意外としぶといんだ

底力持ってるんだ

だって雑草だから

踏まれても

踏まれても

また生えてくる

わたしたちは雑草さ
 





咲かない桜 (幸せになれるオリジナル小説)

咲かない桜


その公園は桜の名所といわれていました。 これといってウリのない公園ですが、4月の初めだけは人気者です。 近所はもとより、いろんなところから花見客が集まってきて賑わうのです。

どの桜も見事なのですが、残念なことに一本だけ咲かない木がありました。 つぼみはつけます。 なのにとうとう咲かないのです。 何年も前からそうなのです。


咲かない桜は公園のちょうど真ん中辺にありますので、その位置に咲かないと絵になりません。 花見客も道行く人も口々に文句をいいます。

「せっかくの位置にあるのに咲かないなんて。 どうしようもないなぁ」

写真に撮る人たちは仕方なく位置をずらします。 咲かない桜は無視されるわけです。

ということで桜も肩身の狭い思いをしていました。 まわりの桜の木たちからも責められてばかりいました。

「おまえのせいで公園の評判が落ちたら、どうしてくれるんだ」

「私はこんなにきれいに咲いているのに、あなたの隣にいるせいで写真に撮ってもらえないのよ」

「この出来損ないめ!」

咲かない桜は悲しくて涙を流しました。 人々は通り雨としか思わないけれど、それは桜の涙なのです。


ある日の午後。 近所のおじいさんと孫が散歩に来ました。 おじいさんは孫の女の子に話しかけています。

「きれいだろう。 あしたみんなで花見に来ようか」

「うん!」

女の子はうれしそうにパタパタと駆けて、公園の真ん中までやってきました。 そして咲かない桜の下で立ち止まりました。

「見て、おじいちゃん。 このお花みんなと違うね。 でもとってもきれい。 とってもかわいい!」

するとおじいさんは孫に説明し出しました。

「これはお花じゃなくて、つぼみというんだよ。 どうしてかわからんが、まだ花が開いてないんだ」

「そうなの? じゃあ、お花さんじゃなくて、つぼみさんだね」

そして女の子は咲かない桜に向かって、呼びかけました。

「つぼみさん、ありがとう。 きれいでかわいいね。 わたし、つぼみさんが大好きよ」

その声は、咲かない桜にちゃんと届いていました。


今までけなされる一方だったのに、女の子はこんなに褒めてくれた! 咲かない桜はうれしくてうれしくて、お礼を言いたかったけれど、人間の言葉で伝えることはできませんでした。

そこで枝をかさかさっと揺らして、合図をしました。 

「つぼみさんがありがとうっていってるよ。 また会おうね、つぼみさん」

女の子はおじいさんに手を引かれて、帰っていきました。


次の日のことです。 たまたま週末だったこともあって、公園には人がたくさん集まっていました。 

と、驚いたことに・・・咲かない桜が見事に咲いているではありませんか。

どの桜よりも美しい可憐な姿で。 公園の真ん中で堂々と咲いています。 まるでお姫様のようです。 

人々は大喜びで、桜の写真を撮り始めました。

「とうとう咲いたよ。 この桜がいちばんきれいだね!」


咲かない桜(正確には咲かなかった桜ですが、一応、この呼び名で続けます)はとても誇らしい半面、正直ちょっと違和感も感じていました。

これでいいのかな。 なんか違うみたい。 桜はそんな風に感じていました。

と、咲かない桜が待っていた人が現われました。 あの女の子です! 今日は家族でお花見に来たのです。

「あ、つぼみさんだ」

女の子がそう言うと、今度は彼女のお母さんがこう訂正しました。

「つぼみじゃなくて花よ。 それにしてもきれいに咲いてるわねぇ」

すると女の子は咲かない桜を見上げて、こんなことを言ってきたのです。

「お花さん、とってもきれいだよ。 でも、わたしはつぼみさんも好き。 つぼみさんもお花さんも、どっちもあなたでしょう? だからわたし、どっちも大好きだよ。 」


その瞬間、咲かない桜は悟りました。

そうか。 私は私なんだ。 中身は常に私なんだ・・・私は私・・・ 私でいいんだ。 

そして、ありがとうの気持ちを込めて、枝をかさかさっと揺らして合図したのでした。

それを見た女の子は言いました。

「ありがとう。 また来年も会おうね」


咲かない桜は気まぐれです。 今年はこうして咲きましたが来年はわかりません。 

でもたとえ咲かなくてだいじょうぶ。 公園の真ん中で、堂々と自分らしく生きていくだけです。




~おしまい~


読んでくれてありがとう。 他のお話も読みたいという方は、こちらもどうぞ!


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